暗いニュースの数々で、大暴落を続ける仮想通貨。明るい未来を作る技術も、今はまだたくさんの問題を抱えています。
たとえば、仮想通貨を預かる、取引所や通貨を発行している人は信用できるのか?という問題です。ここのところのニュースは、その問題が表に出てきただけとも言えます。
- コインチェック問題 → 取引所が破綻するリスク
- テザー問題(※) → 価値が適正でない可能性があるリスク
でも実は、仮想通貨最大のリスクは、もっと別のところにあるのです。
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テザー(USDT)は、USドルと常に同じ価値をもつ仮想通貨(1USD=1USDT)。
仮想通貨が下がった時に、現金に戻さずに逃げることができるため、人気がありましたが、いくつかの疑惑が持たれています。
・市場に出ているテザーの総資産と同じだけのドルをもっている証拠がない
・取引所と手を組んでビットコインの価格捜査をしていた疑い
・発行上限としている数よりも、発行している数の方がが多い疑い
→去年ビットコインの値段が急に上がったのは不正に発行されたテザーでの買い支えだったのでは?
これが本当だった場合、1BTCの価値は、急騰前の値まで下げるのではないかと心配されているのです。
コインチェック問題についてはこちらの記事をご参照ください。
「coincheck(コインチェック)で過去最大額の仮想通貨が不正流出!被害額は5.4億NEM」
「【朗報】コインチェック、NEMを事件発生時の価格(1XEM=約88円)の日本円で返還する方針!」
信用できないなら自己管理すべき?
取引所はあぶない、ならどうすればいいか。それは自分の財布で仮想通貨を持っておくことです。
仮想通貨のお財布をウォレットといいます。
ウォレットに入れておけば、取引所が潰れても大丈夫!
ネット上でも、これを機会に「ハードウォレット(※)」に資産を移そう!という声が多くありました。
・ウェブ上のサービスを利用するもの…秘密鍵をウェブサービスを管理している人に預けるタイプ。取引所と同じく、サービスにログインして使う。モバイルウォレット、ウェブウォレットと呼ばれるものがこの仲間。
・パソコンに保存するもの…秘密鍵は自分で管理するタイプ。ネットにつないでいなければ、ウェブ上のものより盗まれるリスクは低くなる。デスクトップウォレット、クライアントウォレット、ソフトウェアウォレットなどと呼ばれる。
・物として保管するもの…パソコンの外で秘密鍵を保管するタイプ。3つの中でもっともハッキングへのリスクが低い。この仲間にはハードウェアウォレット、ペーパーウォレットがある。
ウォレット、とくにハードウェアウォレットであれば、ハッキングのリスクはとても低くなります。
「誰かに奪われることがない」、この視点から見た場合、これは正解です。
でも、この方法には見逃せない注意点があります。
それは、このウォレットの管理は100%自分の責任でしなければいけないということです。
自己管理すると、被害者にはなれない
大きなお金を自分の手元に置いて管理することは、決して楽ではありません。
家にだって泥棒が入る可能性はあるし、財布を落としてなくす可能性もあります。
これが銀行だったら銀行の責任にできますが、個人ではそうはいきません。
銀行は1000万までなら保証するという、ルールが守ってくれます。
取引所にはこうしたルールはありませんが、コインチェックの事件のように、大きなニュースとして社会問題になれば、対応次第では、取引所や仮想通貨自体の価値を大きく傷つけることになるため、被害者を無視することはできなくなります。
実際、コインチェック問題では、事件の翌日に日本円に戻して、変換する方針が発表されました。
仮想通貨の最大のリスクはセルフGOX(ゴックス)
ウォレット管理のメリットは、ハッキングのリスクから守られることです。
しかし仮想通貨をなくす原因は、ハッキングに限りません。むしろ、自分でうっかりなくしてしまうことがとても多かったりします。
自分のミスで仮想通貨をなくしてしまうこと、これを仮想通貨界ではセルフGOX(ゴックス)と呼ばれています。
セルフGOX(ゴックス)してしまったら最後、ほとんどの場合、仮想通貨を取り戻すことはできません。
現在起こりうる、仮想通貨の最大の危険、通貨の価値がどんなに上がって得をしても、最後までついて回る身近な恐怖、それがセルフGOX(ゴックス)なのです。
・送り先のアドレス(※口座番号のようなもの)を間違えてしまう
・ウォレットやパスワード、秘密鍵などを保存したパソコンが壊れてしまう
・秘密鍵を保存したもの自体がダメになったり、なくす
・そもそも何をどこに保存していたのか、忘れてしまう
間違いを犯さない人間はいませんよね。だからこれらは誰にでも起こりうることなんです。
30円で買ったNEM1000枚を
セルフgoxしてなかったらなー— まき (@masaki_piii) 2018年2月1日
セルフGOXしたと思って、汗止まんなかった(笑)
— 利ヅラ (@RIZLAXXXKING) 2018年1月29日
ウォレットのパスフレーズを忘れたり、復旧するためのバックアップを紛失した場合はどうしようもありません。いわゆるセルフGOXですね。ちなみに私はセルフGOX2回ほどあります。
— CC破産の大豆 (@dj_tatibana) 2018年1月7日
8月らへんで $ADK のウォレットのseedメモし忘れでセルフgox(今のレートで大体50万円分)したの思い出してさらに辛い。
— ぬぬ (@nnunnuqq) 2017年10月24日
特に、取引所が怖い!とよく調べずに慌てて作業すると、危険が大きくなります。
充分な注意が必要です。
コールドウォレットは使い方を間違えるだけでお金がなくなる
特に、いま仮想通貨界隈でオススメされている保管方法である、コールドウォレットは、説明書も英語で、コンピュータに詳しい人にしか使い方が理解しにくいものです。
元ライブドアの堀江貴文さんも、このことについて指摘されています。
まあでも、ハードウェアウォレットの秘密鍵わすれたり、ファームウエアのバージョンアップ時にレストアするためのフレーズ忘れたりとかたぶん取引所に預けとくよりもリスク高い人のほうが多そうだよ笑
出典:【解説】NEWS PICKSもう失わない。ゼロから学ぶ仮想通貨の「資産防衛術」への堀江貴文氏のコメント
この引用を見て、意味がわからない方は、ハードウェアウォレットをつかうことはやめたほうが無難です。
また、自分に何かあったとき、家族に引き継ぎたいけれど、家族にその知識がない場合も同じです。
わたしも、株の資産を仮想通貨に移したいと夫に伝えたとき、「いいけど、なんかあったときどうすればいいかは書いておいて」と言われています。
夫はパソコンには詳しいですが、仮想通貨の知識はほぼないため、ハードウェアウォレット は使っていません。
初心者でもできる、秘密鍵を安全に保管する方法
- 社会的信用の高い会社が運営する取引所に預ける
- パスワードや秘密鍵を、パスワード付きのUSBに保存する
あとは、
・ファイルのタイトルをいかにも秘密鍵!な名前にしない
・パスワード付きのzipファイルにする(やり方はググってね!)
・画面をデジカメに撮って、大切な家族写真を入れたSDカードに一緒に保存する
・電波の繋がっていない昔使っていたスマホに保存する
とか、身内以外はそれが大事と気付きにくくて、パソコンに頼り過ぎない方法にすること、どれかひとつではなくて、いくつかに分けてしまっておくのが大切だよ!
1点気をつけることはウォレットのパスフレーズは万が一、紛失するとLisk財団でもどうにもできません。セルフGOX確定します。
パスフレーズを書いたテキストデータを長期保存用CDに焼く、プリントアウトして保管など、複数の方法かつ、オフラインで保存しましょう。念を入れるなら貸金庫に保存も有り。— Mukku@仮想通貨 (@mukku_sun) 2018年1月27日
預け先も通貨も分散する
取引所に預ける道を選んだ場合も、分散することは効果的です。
できれば、1ヶ所にまとめず、3ヶ所程度には分けておくことをオススメします。
通貨も、CMではまだ仮想通貨=ビットコインのように使われていますが、仮想通貨にはたくさんの種類があります。
テザー問題で明らかになったように、人気や将来性のある通貨でも、その価値と今の価格が本当につりあっているのかは分かりません。
最低でも3種類には分けておくといいと思います。
仮想通貨が一般に広まるために乗り越えなければいけない課題
今は、取引所や通貨のような、仮想通貨のベースとなる部分での信用問題がクローズアップされています。
セルフGOX(ゴックス)は、この問題を乗り越え、またあたらしく仮想通貨の世界にたくさんの人が足を踏み込んだとき、社会問題化してくると思います。
これは、仮想通貨が普通の人でも使えるようになるために、乗り越えなければいけない大きなハードルのひとつです。
セルフGOXを初心者の誰もが恐れています。
これに対するセーフティネットとなる機能や、鍵管理のサポートとなる(ウォレットとは別の)製品があっても良いのではないかと思います。— Bill Maxwell 🦍 (@JollyAzure) 2018年2月1日
あらゆるものは、必要とされることで生まれます。
たとえば、秘密鍵をなくしたり、持ち主が亡くなったときに備え、「一定期間動かさなかった場合、自動的に指定したウォレットへ送る」ことでセルフGOXを救済する、こんな新しいサービスも生まれています。
MYWISH https://mywish.io/index.html
MYWISHのトークン、WISHはCRYPTOPIAという取引所で買うことができます。
上級者の方は、こんな問題自体を解決してくれるプロジェクトに投資してみるのも一つの方法かもしれませんね。
bitFlyer(ビットフライヤー)
GMOコイン
初心者が取引所に置いておく道を選ぶなら、このふたつは押さえておくことをオススメします。その他の取引所については、こちらでご紹介していますので、参考にしてくださいね。
この鍵を管理することこそが、お財布を管理すること!管理の仕方の違いでウォレットは大きく3つの種類に分けることができるよ。